ネパリの長所と短所

＜ネパリの長所＞

全体には、目上の人を敬い大らかで柔順です。人間関係や人の輪を重んじます。ゆえに物には頓着しません。何ごとにも熱意を持って臨み、やる気や関心を示します。自虐ネタで自らを笑える謙虚さも持ち、同時に強い誇りも忘れません。嫌とか知らないとは口にせず、どんな仕事でも受け入れます。人を恐れたり怯えることもなく、本心を隠すのは罪だという概念から、思ったことは何でも隠さず口にします。誰とでも世間話が始まります。Facebook、SNS、電話…どれも大好きで、何時間でも話ができ、話題には事欠きません。細かいことを気にするのは恥、卑しいと考え、決して神経質にはなりません。人に熱心に励ますことはあっても、呷ることは厳禁と考え、相手の意志を尊重し出方をじっくりと待ちます。ストレスを上手に発散させ、ストレスを溜めない思考パターンを持っています。多言語国家ゆえに高い聞き取り能力を持ち、すぐに新しい言語も使いこなします。順応性や適応能力も高く、新しい環境にすぐに馴染みます。メモを取らずとも抜群の記憶力を発揮し、携帯番号などもすぐに丸暗記します。目標達成のためには、無駄な思考を一切排除して集中します。女性は男性よりも極めて勤勉で、重労働も忠実にこなします。物凄い集中力を発揮し、あっという間に仕事を片付けます。

＜向いているであろう仕事＞

目上を敬い世話見が良いなら、福祉関係の仕事が向くでしょう。IT化や機械化が遅れている農村部出身であれば、単純労働や工場勤務が挙げられます。現地の接客はひどく不愛想ですが、人懐っこい笑顔で人付き合いが良ければ、訓練によっては接待･接客業も立派に果たすでしょう。図太い大陸型の性格なら、重要な交渉の場でもどーんと構えていられるでしょう。数字や計算に強ければ、会計事務職や記憶力を活かす仕事向きです。大らかなら、指示通りに行う作業が適当ですし、機転と融通と工夫が利くなら、営業や集金が向くでしょう。

＜重要戦略＞

上述の通り、複雑な民族構成ならびに貧富や教育の大きな差のゆえに、ネパリを一口で語ることは到底できません。それで、国民という枠ではなく個々で見ること、そして個々の性格と潜在能力をいかに的確に判断するかが、経営側にとって成功のための最初の重要戦略となります。

＜ネパリの短所＞

長所と短所は紙一重です。柔順な反面、指示待ち人間で、一日ぼおっとしてられるかもしれません。物は壊れて当然、直せばいいと、何でも乱暴に扱うかもしれません。上司には従っても、ルールや規範には無頓着かもしれません。腰が軽くとも、熱しやすく冷めやすいかもしれません。空虚な自負心だけで、卑屈な精神が露呈するかもしれません。カーストゆえに誇り高く、清掃や皿洗いをしたがらないかもしれません。何でも安請け合いをし、仕事を溜めるだけかもしれません。無知を認めず、大事な仕事をダメにするかもしれません。大胆で度胸はあっても、仕事は大雑把かもしれません。気持ちは隠さないのでTPOを弁えず、ずけずけと余計なことを喋るかもしれません。プライバシーとの見境がなく、内密事項も漏らしてしまうかもしれません。勤務時間に、職務とは無関係のチャットや会話に耽るかもしれません。ただの能天気で、繰り返される圧力には脆いかもしれません。会話はすぐに上達しても、必要最低限の単語を使い回しているだけかもしれません。適応能力が高いようで、ただの八方美人かもしれません。携帯番号を丸暗記するのは、保存操作をいじれないだけかもしれません。抜群の記憶力とは裏腹に、断りもなしに平気で約束をすっぽかすかもしれません。仕事は早くとも、何でも中途半端かもしれません。後片付けが苦手で、道具もゴミも放ったらかしかもしれません。融通が利くようで、言い訳ばかりで無責任なだけかもしれません。メモを取らないので、記憶容量を超えたら全て忘れるかもしれません。予定や計画は立たず、ただの日和見主義者で、自己分析も自己精錬もしないかもしれません。

＜向いていないであろう仕事＞

現実には、素晴らしく優秀な人から恐ろしく怠惰な人まで千差万別です。同時にこれらの悪徳は、文化的背景からというよりは、カースト制度や他国からの虐げ、また政治の腐敗や内戦で負った傷によるものであり、彼らが国や社会の犠牲になってきたことの証しでもあります。

実際には、ネパリは育て方と用い方でいかようにでも化けます。それほどの柔軟性とキャパシティーに富んでいます。ただ、情報処理能力があまり訓練されておらず、マニュアル通りにやるというコンセプトそのものが、まだしっかりと根付いていないのです。ゆえにこれらの短所を将来の長所とみなし、それらが長所に変わるよう、長期的な視点で具体的な援助を施すことが求められます。一見、回りくどい方法に思えますが、これこそが経営者に益をもたらす近道であり、不可避の道でもあるのです。